どうも、狐乃文人です。
セールスライティングでは、LP(ランディングページ)やセールスレターを一度作って終わりではなく、定期的なアップデート(LPO)が必要です。
この時、アップデートの効果を計測する時に欠かせないテストがA/Bテストです。
A/Bテストを実施することで、効果の高いコンテンツづくりやアップデートが可能になります。
この記事ではA/Bテストの概要とやり方を解説します。
この記事を読むメリット
- A/Bテストとはどんなことをするかがわかる
- 効果的なA/Bテストの実施方法がわかる
- A/Bテストを実施する時のポイントが分かる
A/Bテストとは
A/Bテストとは、異なる2つのバージョンのコンテンツを比較し、その効果を測定する手法です。
その目的は、コンテンツのパフォーマンスを高めることです。
例えばランディングページ(LP)では、A/Bテストがよく実施されています。
同じ商品を取り扱っていますが1つは商品の効果効能を打ち出すLP、もう一方は商品をプロデュースしたタレントの写真をふんだんにつかったLP。
この2つのLPを同じ条件で運用し、パフォーマンスが高かったLPと別の訴求のLPとで再びA/Bテストを実施する。
といったようにA/Bテストを継続して行うことで、パフォーマンス向上を狙います。
なぜA/Bテストが重要なのか
A/Bテストの目的はコンテンツのパフォーマンス向上とお伝えしました。
パフォーマンスを向上させるために、A/Bテストを通じてどんな事ができるのか、具体例を挙げていきます。
効果的なPDCAサイクルの構築
マーケティングの効果を高めるPDCAサイクル(Plan, Do, Check, Act)の質を高めるうえで、A/Bテストが欠かせません。
A/Bテストのように施策の効果を計測しやすい方法でPDCAサイクルを回すと、1回1回改善の効果が高く、パフォーマンスの高いコンテンツを作りやすいです。
そして質の高いPDCAサイクルを回すことで、コンテンツだけにとどまらずビジネスの成長促進も期待できます。
セールスライティングの改善
コンテンツ制作に欠かせない文章の改善、売れる文章を書くスキル(セールスライティング)の改善のために使われることが多いです。
異なるキャッチコピーや魅力を解説するテキストをテストすることで、どの要素がターゲットに最も響くかを具体的につかみやすくなります。
こうしたA/Bテストを実施することで、より効果的なキャッチコピーやテキストを作成し、商品の成約率(コンバージョン率)の向上が期待できます。
リスクの最小化
新しいLPやセールスレター、広告をリリースする際に、その効果が不明なまま運用するのは売り上げ損失のリスクが伴います。
しかし、A/Bテストを使用すれば、少数のユーザーを対象にまずテストを行い、その結果を見てから正式に運用するかどうかを判断できます。
これにより、売り上げ損失リスクを最小限に抑えながら改善を進めることができます。
A/Bテスト実施の7ステップ
ここからは、A/Bテストの具体的な手順について解説します。
A/Bテストの一連の流れは大まかに7つのステップに分類できます。
ステップ1:テストの目的を明確にする
はじめにA/Bテストの目的を明確にします。
コンテンツの何を改善したいのか、どのような結果を期待しているのかなど、具体的な数字も踏まえて設定しましょう。
例えば、
- メルマガの件名でA/Bテストをして開封率を5%向上させたい
- 広告の条件でA/Bテストをして1契約あたりの広告費を抑えたい
- LPのCTAボタンのマイクロコピーでA/Bテストをしてクリック数を増やしたい
など、目的を明確にすることでA/Bテストの精度が向上します。
ステップ2:仮説を立てる
次にA/Bテストで検証する仮説を立てます。
ここで言う仮説とは、目標の数値を実現するために現状のコンテンツの課題をあぶり出すことを指します。
例えば、CTAボタンのマイクロコピーを変更してクリック数を高めたい場合、下記のような課題が考えられます。
- 抽象的なコピーから具体的なコピーに変えればクリック率が上がるかも
- コピーの文字を読みやすい色に変えたら視認性が上がってクリック率が上がるかも
- コピーの文字を大きくしたら注目されやすくなってクリック率が上がるかも
A/Bテストでは、ここで立てた仮説を1つ1つ実施していき数値の改善を図ります。
ステップ3:テスト要件を選定する
仮説を複数案出したら、その中で今回A/Bテストする要件を1つ決めましょう。
要件を選定する際、効果が高そうと思うものから順にテストしていくことをおすすめします。
1回のテストで1週間~1ヶ月の検証期間があり、準備期間と合わせると1回あたり1ヶ月~2ヶ月程度かかります。
できるだけ早く改善効果を実感するためにも、効果の高い要件から進めるのをおすすめします。
ステップ4:テストの設計を行う
テストの設計とは、テスト要件に選定した箇所を具体的にどのように変更するかということ。
例えばバナー広告のデザインをテストする場合、現行のデザイン(A)はデザイン経験がない広告主が作ったので、新デザイン(B)では広告デザイナーにお願いしてスタイリッシュなデザインにしてもらう、といった感じですね。
ステップ5:テストを実施する
A/Bテストで検証するコンテンツが完成したら、いよいよテスト開始です。
テスト開始後はツールを使用してデータを収集し、テストの進行状況をモニタリングします。
例えば、Google Analyticsを使用して、コンテンツのビュー数、クリック数などを計測します。
ステップ6:結果を分析する
ある程度日数が経ったらテスト結果を分析し、仮説が正しかったかどうかを評価します。
計測していたデータの集計と分析を行い、A/Bテストの有意差を確認します。
ここで有意差が確認できた場合、以下のことを確認しましょう。
A/Bテストで有意差があった場合
- 検証したこと以外の要因が働いた可能性はないか
- 検証の条件はAとB両方に平等だったか
- A/Bテストの検証期間は十分だったか
一方、有意差が確認できなかった場合は以下のことを考えましょう。
A/Bテストで有意差がなかった場合
- 検証したこと以外の要因が働いた可能性はないか
- コンテンツ(B)はテスト要件を十分に満たしていたか
- 他の要件を組み合わせることでテスト結果に影響がありそうか
A/Bテストの結果を鵜呑みにして判断するのではなく、正しい条件で検証できたか確認しましょう。
ステップ7:改善策を実行する
テスト結果を踏まえてステップ2またはステップ3まで戻り、次のA/Bテストの要件を検討し、再びステップを踏んで実行します。
このように繰り返しA/Bテストを行うことで、パフォーマンスの高いコンテンツを制作していきます。
効果の高いA/Bテストのポイント
効果の高いA/Bテストを実施するには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
ここからは、A/bテストの精度の高め方を解説します。
十分な試行回数を確保する
A/Bテストを成功させるためには、十分な試行回数を確保することが重要です。
試行回数とは検証したデータ数のことです。
データ数が少ない場合、偶然結果に偏りが生じる可能性があります。
例えば、じゃんけんを3回やって勝率100%になることは、そんなに確率的に低くないと思います。
しかし、じゃんけんを100回やって勝率100%になる可能性はほぼありえず、勝率50%前後に落ち着く可能性が高いですよね。
このように、試行回数を増やすほどテストの結果が平均に収まりやすくなり、より正確な検証を行えます。
テスト期間の設定
試行回数と同じくテスト期間を適切に設定することも重要です。
テスト期間が短すぎると、十分なデータが収集できず、結果に偏りが生まれやすく信頼性が低下します。
逆に、テスト期間が長すぎると運用のコストの負担が大きくなります。
長すぎず、短すぎない期間でテストを行いましょう。
例えば、LPの場合は2週間から1か月を目処に設定すると良いでしょう。
一度に1つの要素をテスト
A/Bテストでは、一度に1つの要素をテストすることが基本です。
複数の要素を同時にテストすると、どの要素が結果に影響を与えたかを判断することが難しくなります。
早くパフォーマンスを上げたいという気持ちが先行して、質の低いテストを繰り返してしまうと結果として遠回りになる可能性が高いです。
急いでいる時ほど、1つ1つ着実にテストを行い改善していきましょう。
よくあるA/Bテストの失敗例
A/Bテストはやり方を間違えると、何度繰り返しても効果がなかったり、間違ったデータを集計してしまい、コンテンツの質を落としてしまう可能性があります。
ここからは、A/Bテストでよくある失敗事例とその原因を解説します。
小さな変更のテスト
A/Bテストで変更する箇所が目立ちにくい小さな箇所の場合、結果に有意差が出にくくなります。
例えば、ボタンの色を緑色から黄緑色に変えるといった小さな変更では、ユーザーの行動に大きな影響を与えることは少ないです。
そのため、小さな変更はテストを行わず、ボタンの色を緑色から黄色に変更するなど、より影響が大きい部分をテストすると良いでしょう。
結果の誤解
A/Bテストの結果を解釈を誤り、間違った分析や傾向で仮説を立ててしまうこともよくあります。
例えば、統計的には有意差がない結果を有意差があると勘違いしてしまうと、その後のテストで狙った結果が得られない可能性があります。
そのため、結果を分析する時は常に認知のゆがみが入っていないか注意しましょう。
認知のゆがみとは、意思決定をする時に先入観や経験則、直感などに頼って非合理的な判断をしてしまう心理傾向のこと。
経験がある人、年齢を重ねている人ほど先入観を持ちがちなので、できるだけフラットな視点で分析するよう心がけましょう。
テストの中断
テスト期間中にテストを中断すると、正しくデータを集計できない可能性があります。
もともとの期間、条件を満たさず中断してしまった場合、それまでのデータは不十分であり信憑性が欠けています。
A/Bテストを途中で中断することがないよう、期間や条件を事前にしっかり整えましょう。
具体的なA/Bテストの例
A/Bテストは目的に応じて、テスト要件がある程度パターン化されます。
ここからは、A/Bテストでよく使われる要件について解説します。
ランディングページ(LP)のコピー変更
LPのコピーを変更することで、コンバージョン率(成約率)のアップが期待できます。
例えば、保険のLPを作る場合、商品の特徴をアピールするコピー(A)とターゲットの恐怖心を煽るコピー(B)でテストを行うことで、よりパフォーマンスの高いLPのコピーを選択できるようになります。
保険のLPコピーでA/Bテストをする場合
コピーA:「50代からでも入れる終身保険」
コピーB:「50代のうち3人に2人が保険料が高いと感じています」
CTAボタンの色変更
CTAボタンの色を変更することで、クリック率の上昇が期待できます。
例えば、同じ大きさとコピーを揃え、以下の条件でA/Bテストが実施できます。
CTAボタンの色でA/Bテストを実施する場合
ボタンA:黄色のボタン
ボタンB:オレンジ色のボタン
このような色の変更をすることで、よりクリック率の高いCTAボタンを目指すことができます。
メインビジュアルの変更
FV(ファーストビュー)で使用する画像(メインビジュアル)を変更することで、精読率アップを期待できます。
例えば、LPやセールスレターのファーストビューを下記の条件でA/Bテストを実施できます。
メインビジュアルでA/Bテストを実施する場合
画像A:商品の写真
画像B:商品を使用しているユーザーの写真
ファーストビューでどんな印象を与えたいかを考えながら要件を決めることで、パフォーマンスを高めつつ狙った印象を与えるメインビジュアルになるでしょう。
フォームの長さ変更
フォームの項目数を変更することで、コンバージョン率(成約率)の上昇が期待できます。
一般的に項目数が多いほど顧客の情報を収集しやすい反面、途中で離脱される可能性が高い。
反対に項目数が少ないほど顧客の情報を収集しにくいですが、途中で離脱する可能性を抑えられると言われています。
これらを踏まえ、必要な情報を収集しつつ途中離脱を極力抑えられるちょうどよいバランスをA/Bテストを通じて目指していきましょう。
特典の変更
LPやセールスレターの購入特典を変更することで、コンバージョン率の向上が期待できます。
例えば、以下のようなテストが考えられます。
特典の変更でA/Bテストを実施する場合
LP(A):割引クーポンの提供
LP(B):無料サンプルの提供
特典のA/Bテストはパフォーマンス向上しやすい項目なので、積極的に実施していきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はA/Bテストの概要とやり方を解説しました。
A/Bテストは、セールスライティングの効果を高めるために非常に有効な手法です。
基本的な手順をしっかり守り、効果的なテストを繰り返すことでコンテンツのパフォーマンス向上が期待できます。
ぜひこの記事を参考に、A/Bテストを実施してみてくださいね。