どうも、狐乃文人です。
セールスライティングやコピーライティングで成約数や成約率を高めるには、ターゲットとなるお客さんの心理を理解することが必要です。
ターゲットの心理を理解することで、思わず買いたくなるような言葉や言い回しが思いつくでしょう。
そこで今回は人間の欲望の強さを表すマズローの欲求5段階説を解説します。
ターゲットの「欲望」を理解することで、どんな表現だと購買意欲がそそられるか理解できるでしょう。
マズローの欲求5段階説とは
マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏が発表した、人間の本質的な欲求を5つの段階に区分した理論です。
人間の欲求は最下層部の「生理的欲求」から順番に上へ向かってクリアしていき、最終的に自己実現に至ると考えられています。
▽マズローの欲求5段階説
欠乏動機
欠乏動機とは、不足しているものを補おうとして頑張ることです。
欠乏動機にはこれら4つの欲求が該当します。
欠乏動機
- 生理的欲求:生きていたい
- 安全の欲求:身の安全を確保したい・心の安らぎが欲しい
- 愛と所属の欲求:人と繋がりたい・コミュニティの中で居場所が欲しい
- 承認と尊敬の欲求:人に認められたい・尊重されたい
まずは「生理的欲求」それが満たされたら「安全の欲求」と順番に満たそうとしていきます。
そしてこれら4つの欲求が全てが満たされると、次に成長動機へと移行していきます。
マズローの5段階欲求の3分類
マズローの5段階欲求は、それぞれの性質の違いによって「物質的・精神的」「外的・内的」「欠乏・成長」という3つに分類できます。
この分類は、一般的に「マズローの5段階欲求の3分類」と呼ばれています。それぞれについて解説していきます。
物質的・精神的
マズローの5段階欲求を物質的と精神的の側面から分類すると、以下のように考えることができます。
「生理的欲求」と「安全の欲求」は人として生きるために必須の欲求であるため、物質的欲求です。
一方、「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の3つは生命維持に必要ではありませんが、心の満足度にかかわる欲求であることから精神的欲求に分類されます。
物質的な欲求
物質的な欲求は生命の維持に関連しており、食物、水、住居、睡眠などの基本的な生存に必要な要素を指します。
これらの欲求が満たされることで、「生理的欲求」が満たされます。
また、「安全の欲求」も物質的な側面に含まれ、身体的な安全や経済的な安定を求める欲求です。
精神的な欲求
精神的な欲求は心の充足や成長に関連しています。
「愛と所属の欲求」「承認と尊敬の欲求」「自己実現の欲求」は精神的な欲求に分類され、他者との関わりや自己成長を追求する欲求です。
これらの欲求が満たされることで、人はより豊かな人間関係を築いたり、自己の可能性を最大限に引き出すことができます。
外的・内的
欲求を外的と内的の側面から分類すると、以下のような視点が浮かび上がります。
外的な欲求
外的な欲求とは、周囲の環境や他者からの影響によって生まれる欲求です。
例えば、社会的な評価や承認を得ること、他人との関係を築くことなどが該当します。
「生理的欲求」「安全の欲求」「愛と所属の欲求」これらの欲求は外部からの刺激によって引き起こされ、個人の行動に影響されます。
内的な欲求
内的な欲求は個人自身の内面から生まれる欲求です。
「承認欲求」「自己実現欲求」が内的な欲求に該当します。
このような欲求は内部からの動機づけによって駆り立てられ、個人の価値観や意志に基づいて行動が行われます。
欠乏・成長
最後に、欲求を欠乏と成長の側面から分類してみましょう。
欠乏の欲求
欠乏の欲求は、飢えている、安全が脅かされている、孤立しているといった状況から生じる欲求がこれに該当します。
これらの欲求は、個人が不足している部分を補うことを求めて行動する動機づけになります。
「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」は、自分に不足しているものを満たしたいという欲求なので、欠乏欲求です。
成長の欲求
成長の欲求は既存の状況を超えてより良い状態へと進化することを求める欲求です。
自己実現の欲求がこれに該当し、個人は自身の能力を最大限に発揮し、より高い目標を追求する動機づけを持ちます。
「自己実現欲求」については全ての欠乏が満たされた状態で自分を高めたいという欲求で「成長欲求」に区分されます。
5つの欲求
次にマズローの欲求5段階説に含まれるそれぞれの項目を解説していきます。
マズローの欲求5段階説の特徴
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 愛と所属の欲求
- 承認と尊敬の欲求
- 自己実現の欲求
先程の三角形の図の底辺である「生理的欲求」が人間の一番強い欲求であり、その次に「安全の欲求」「所属と愛の欲求」…と続いていくと考えられています。
また、これらの欲求は下から順に満たされていくと考えられており、下の欲求が満たされない限り、上の欲求が出てくることはありません。
それでは順に見ていきましょう。
1つ目の欲求:生理的欲求
生理的欲求は文字通り生きることを目的とした欲求で、人間に限らず全ての生物に備わっている本能的な欲求です。
例えば、人間の三大欲求と言われる食欲、性欲、睡眠欲は生理的欲求に該当します。
人間の本質的な欲求とあり非常に強力ではありますが、これらが満たされないほどの状況になることはほとんど考えられないので、セールスライティングで使う場面はないでしょう。
2つ目の欲求:安全の欲求
安全の欲求とは体と心の安全・安心を求める欲求のことを指します。
例えば、健康でありたい、ストレスから開放されたい、体と心が休まる場所にいたい、といった欲求ですね。
これらの欲求は基本的に発達が著しい幼児で顕著に見られる欲求ですが、大病を患ってしまった、心が病んでしまったという場合にもこれらの欲求が強くなります。
3つ目の欲求:愛と所属の欲求
愛と所属の欲求は、家族や仲間と繋がりたい、コミュニティの中で認められたいといった対人関係の欲求になります。
これらの欲求が満たされないと孤独感が強くなり精神的に不安定になりがちです。
人間は本能的に集団で生きることが組み込まれている以上、他者とのふれあいや社会とのつながりは必要不可欠でしょう。
この辺からセールスライティングでも使いやすくなってきましたね。
4つ目の欲求:承認と尊敬の欲求
承認と尊敬の欲求とは、人に認められたい・尊重されたいといった欲求のことを指します。
この欲求は「他者からの承認と尊敬」と「自分自身に対する承認と尊敬」の2つに分類されます。
他者からの承認と尊敬
- 人より優れていること
- 自分が相応に評価されること
- 地位、名声、名誉など多くの人に認められること
自分自身に対する承認と尊敬
- 自分自身に対する信頼
- 過去の自分と比べての成長・進歩
- 自己肯定感
この欲求は特に現代社会を生きる私たちにとって切っても切り離せない欲求ですね。
実際に私がセールスライティングする時に、よくこの欲求を絡めてライティングしています。
5つ目の欲求:自己実現の欲求
自己実現の欲求とは、人生をもっと充実させようとする欲求です。
例えば、もっと自由に使えるお金を増やすために給料の良い会社に転職したい、人間関係のストレスから開放されるために独立したい、などの現状をより良くすることを目的としたポジティブな欲求です。
ただ、自己実現の欲求はそれ以下の欲求(生理的欲求~承認と尊敬の欲求)が満たされないと湧いてこない欲求なので、万人受けはしにくいでしょう。
6つ目の欲求:自己超越欲求
マズローの欲求5段階説を全て満たした先で現れる欲求として、「自己超越欲求」というものがあります。
この欲求は「世界平和に貢献したい」「誰かの役に立ちたい」など、自分以外の第三者を幸せにしたいという欲求のことです。
ここまで紹介した5つの欲求は「自己利益のための欲求」だったことに対し、自己超越欲求は「他者の利益のための欲求」が含まれています。
まさに人間の究極の欲求とも言えるものですが、この欲求に達する人はほとんどおらず、全人類の2%ほどと言われています。
セールスライティングでマズローの欲求5段階説を活用する方法
ここからはマズローの欲求5段階説をセールスライティングで効果的に使う方法をご紹介します。
マズローの欲求5段階説を理解して人間が持つ欲求の本質を捉えられれば、読者の購買欲求を掻き立てるたるキャッチコピーやLPを書けるようになるでしょう。
具体的な活用方法は下記の3つです。
- 煽りは欠乏動機を使う
- メリット、ベネフィットは成長動機を使う
- 欲に従うことを正当化させる
それでは順に解説していきます。
煽りは欠乏動機を使う
強力な煽りを作るなら「欠乏動機」をおすすめします。
マズローの欲求5段階説には下の欲求から順に満たしていく特性があるため、「生理的欲求」や「安全の欲求」を煽ることで、より強力にターゲットの心を揺さぶることができます。
また、煽りをさらに強力にするために論文や調査結果など、具体的な事実を絡めると良いでしょう。
例文:介護施設の紹介
あなたはご存知でしょうか?2021年に亡くなった日本人のうち10人に9人が病気や不慮の事故などで苦しい思いをして最期の時を迎えています。
今はあまり実感がないかもしれませんが、これから年齢を重ねていき徐々に体の不調が出始めると、日常生活の些細な動作すらも命を脅かす事になりかねません。
そこでオススメなのが、60歳から入れるこの「スーパー老人ホーム」なんです!
この例文では「亡くなった人の割合」が具体的なデータを使い、「些細な動作が命を脅かす」という煽りで安全の欲求を使っています。
このように事実と組み合わせることで、煽りの言葉に重みが増してターゲットの注目を獲得しやすくなります。
メリット、ベネフィットは成長動機を使う
またメリット、ベネフィットでターゲットに魅力を伝える時は、成長動機を絡めると良いでしょう。
メリットとベネフィットについては、こちらの記事でまとめています。
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メリットやベネフィットは「これを使ったらどんな良いことがあるのか」とターゲットにポジティブな想像をさせるものなので、できるだけポジティブな欲求(成長動機に含まれるもの)を使うと良いでしょう。
また成長動機を使う際は、ターゲットがちょっとぜいたくに感じるモノ、コトをチョイスすると良いでしょう。
例文:老舗日本料理店が作った数量限定のおせち
こちらのお料理ですが、職人さんが一つひとつ手作りしているためお値段はちょっと高めではありますが、お店でしか食べられない味をご自宅でもお楽しみいただけますよ。
やっぱり正月といえば、親戚が集まって食事を楽しむご家庭も多いと思います。
そんな時だからこそ、いつもよりちょっとだけぜいたくなこちらのおせちを出せば、みんな笑顔で楽しい一時になるはずです。
この例文では「ちょっとぜいたくな料理を食べたい」が自己実現の欲求、「みんな笑顔になる」は自己超越欲求を使っています。
ちょっといいものを選択することで得られる感動には、値段以上の価値をターゲットに感じさせやすいのでオススメです。
欲に従うことを正当化させる
そしてこれが一番重要なのですが「欲に従うことの正しさ」をターゲットに伝えるようにしましょう。
例えば、世間的に投資は「金の亡者がやること」「ずるいお金の稼ぎ方」といったマイナスのイメージをもっている人が多いですよね。
資本主義を生きる私たちにとって「お金を稼ぐこと」は必要な行為のはずなのですが、こういった「欲に従うこと=卑しい人間」と捉えている人はかなり多いです。
そのため、「欲に従うことは恥ずかしいことではない」と欲に従うことを正当化させる必要があります。
例:投資の正当化を伝える
日本では、会社で働いていれば一生安泰という時代が終わり、本業以外で収益を見つけることが必要な時代になりました。
例えば、いろんなものが値上がりしていますし、年金の支給年齢の引き上げや医療費負担の増加、増税など、これまでの常識で生きているとこの先貧しい暮らしを強いられるのは一目瞭然です。
お金を稼ぐことは卑しいことと感じるかもしれませんが、あなたが生きていくためにはお金は必ず必要です。
だから、ほったらかしでお金を増やせる投資を始めましょう。
例文のように欲に従うことの正当性を事実を使って丁寧に説明すると、ターゲットも理解しやすくなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は人間の欲望の強さを表すマズローの欲求5段階説を解説しました。
ぜひマズローの欲求5段階説を活用して、ターゲットの心を揺さぶるセールスライティング、コピーライティングをしていきましょう。