どうも、狐乃文人です。
あなたは文章にもリズムが存在していることをご存知でしょうか?
ダンスや音楽などで求められるあのリズム感と同じく、文章を読むユーザーにもリズムが存在します。
そしてこのリズムを理解して自らコントロールできるようになると、ユーザーの読むスピードや文章への没入感を高めることができます。
今回は文章のリズムの付け方についてについて解説します。
文章のリズムとは
文章のリズムを一言で表すとするなら「水泳の息継ぎ」のようなものです。
一定の間隔で息継ぎできるポイントがないと、ユーザーは読んでいる内容が頭に入ってきませんし、読んでいるだけなのに疲れてしまいます。
また、息継ぎの間隔が短すぎたり、長すぎたりすると全体的に落ち着きのない文章になってしまいます。
逆にある程度一定の間隔を保った文章は、ユーザーの読み進めるスピードすらもコントロールできるでしょう。
例えば、こちらの例文をご覧ください。
例題
- 彼は言った「おいしいカレーを作るためには、まずは包丁の握り方、具材の切り方から学ぶべきだ」と。
- 彼は「おいしいカレーは包丁の握り方と具材の切り方から学ばなければならない」といった。
ほぼ同じ意味の文ですが、上の方が読みやすく、下の方が読みにくく感じたのではないでしょうか?
ちなみに、今の例文ではこのように息継ぎの間隔を取るように狙っていました。
息継ぎのポイントの例
- 彼は言った/「おいしいカレーを作るためには、/まずは包丁の握り方、/具材の切り方から学ぶべきだ」/と。
- 彼は「おいしいカレーは/包丁の握り方と具材の切り方から学ばなければならない」/と言った。
おそらく上の文は、ほとんどの方が同じところで区切ったかと思いますが、下の文では全く別のところで区切っていたのではないでしょうか?
これは一文だけなので多少の差に感じるかもしれませんが、これが続くと少しずつストレスが溜まって、ユーザーは途中で読むことをやめてしまいます。
だからこそ、リズムの良い文章でユーザーにストレスを与えない、逆にリズムをコントロールして没入感を高めることが重要なのです。
文章にリズムをつける方法
それでは、文章にリズムをつける具体的な方法をご紹介していきます。
今回ご紹介する方法は下記の4つになります。
文章にリズムをつける方法
- 句読点を使う
- 改行を使う
- 文末の単語を揃える
- セリフを使う
- オノマトペを使う
それでは順に解説していきます。
句読点を使う
句読点は明確な息継ぎのポイントとして非常に使い勝手が良いです。
先程の例文の中でも読点の間隔を少し短めに打ちました。
少し細かく区切ることで息継ぎがしやすくなるだけでなく、一単語、一文が強調されて理解がしやすくなります。
また、句点は文章の終わりを表す記号で、息継ぎポイントと話の転換ポイントを兼ねています。
句読点なしの場合
「私が作るカレーには隠し味としてコリアンダーやガラムマサラの他に、料理好きな祖父に教えてもらったインスタントコーヒーの粉も入れている」
句読点ありの場合
「私の作るカレーには隠し味として、コリアンダーやガラムマサラ、そしてインスタントコーヒーの粉も入れている。
これは、料理好きな祖父から教わった隠し味だ」
いかがでしょうか。
句読点なしの例文では一文の中に「隠し味の話」「祖父の話」が混在しています。
これでも意味も理解できますが、少し読みづらさがありますよね。
こういう時は、「一文一義」という考え方に習って、句点を使い文章を分けましょう。
文章は長くなりましたが、一文が短くなった分リズムも出て読みやすくなりましたね。
また、句点のさらに深い使い方はこちらの記事で解説しています。
▽
改行を使う
句読点と同じように、強制的に文を区切ってリズムをつける方法として改行という手段もあります。
一見すると句読点とかなり近いものに感じるかもしれませんが、実は微妙にニュアンスが違います。
句読点の場合、明確な息継ぎポイントになりますが、改行の場合は息継ぎポイントというよりも、句読点よりもさらに細かいリズムをつけるためのテクニックです。
句読点のみの場合
「これまでも何度も言ってきたかと思うが、改めて言おう。塩と砂糖を間違える女の子なんて絶対にいないし、もしそういう言い訳をする子がいたら、絶対に故意にやっていると疑ったほうが良い」
句読点+改行の場合
「これまでも
何度も言ってきたかと思うが、
改めて言おう。
塩と砂糖を
間違える女の子なんて
絶対にいないし、
もしそういう
言い訳をする子がいたら、
絶対に故意にやっていると
疑ったほうが良い」
改行を加えることで擬似的に一文が短くなりましたね。
このように改行が増えることでリズムもつけやすくなります。
また、左右への目線の動きを減らすことでユーザーの集中力を分散させず、最後まで読み進めやすくなります。
文末の単語を揃える
いわゆるラップで使われる「韻踏み」ですね。
韻と言っても単語で踏む必要はありません。
例えば文末を「です」で統一する、体言止めで最後の一文字だけ韻を踏むように揃える、といったゆるい韻踏みでも十分に効果があります。
文末を「です」で統一する
料理はまごころです。
まごころがあればどんな食材だっておいしくなるんです。
まごころこそ最高のスパイスです。
体言止めで韻を踏む
ガキの俺に弁当を作ってくれたおふくろ
あの頃は感謝なんて少しもなかったおろか者
親になってわかった、弁当を作るの苦労
だから今言うよ、おふくろありがとう
文字では伝わりづらいかもしれませんが、音として発するとリズムの良さがわかるかと思います。
この例文のように、同じ音を繰り返すことで心地よいリズムがついて、ユーザーも読み進めやすくなります。
セリフを使う
リズムをつけるきっかけが難しい場合は、これまでの流れを一度断ち切るというのも1つの手です。
例えば、唐突なセリフを入れるとそれまでの空気感をガラッと切り替えられます。
セリフ無しの場合
この料理がもっとおいしくなる、ワンポイントアドバイスです。
心からおいしくなれと3回唱えながら作りましょう。
人の心は最高のスパイスになりますよ。
セリフありの場合
この料理がもっとおいしくなる、ワンポイントアドバイスです。
料理中に次の言葉を唱えましょう。
「おいしくなれ」
「おいしくなれ」
「おいしくなれ」
あなたの今の言葉が、最高のスパイスになりましたよ。
セリフが加わることで、単調で堅い料理の解説の雰囲気が一気に変わり、ポップで楽しい雰囲気になりましたね。
特に長いセリフやキマった言葉じゃなくても、これまでのリズムを崩してマンネリ化を防ぐことができます。
オノマトペを使う
セールスライティングでは、商品の魅力を伝えるためにユーザーに文章をできるだけ長く読ませることも重要です。
オノマトペは文章をキャッチーで読みやすくするだけでなく、ユーザーに商品を使う様子を具体的にイメージさせやすくなります。
例えば、柔らかい素材の商品をセールスする時に「ふわふわ」といった擬態語のオノマトペを使うことで、ユーザーにその質感や肌触りを想像させることができます。
そんなオノマトペの使い方は、こちらの記事で解説しているのでぜひご覧ください。
▽
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は文章のリズムの付け方についてについて解説してきました。
文章のリズムとは
「水泳の息継ぎ」のようなものです。
→ある程度一定の間隔を保つことで、ユーザーの読み進めるスピードをコントロールできる
文章にリズムをつける方法
★句読点を使う
→読点で少し細かく文を区切ることで息継ぎがしやすくなり、一単語、一文を強調できる
→一文一義になるように読点で話を区切ると読みやすく、リズムがつく
★改行を使う
→目線が左右に散ることを抑え、さらに句読点よりもさらに細かくリズムを付けられる
★文末の単語を揃える
→韻を踏むと読者が読んでいて心地よいリズムになる
★セリフを使う
→これまでのマンネリ化を崩し、新しいリズムを付けられる
★オノマトペを使う
→文章だけでは伝わりきらないニュアンスが伝わりやすくなる
文章にリズムがつくと読みやすくなるだけでなく、没入感がまして読者が最後まで読み進めてくれるでしょう。
これまでリズムを意識したことがなかった人は、今回の記事を参考に挑戦してみてくださいね。