どうも、狐乃文人です。
セールスライティングやコピーライティングでは、基本的にこちらからターゲットとなるお客さんに購入を促します。
しかし、返報性の原理という心理効果を使うと、こちらから働きかけなくても相手から主体的に購入させることができます。
そこで今回は返報性の原理を使ったセールスライティング術を解説します。
返報性の原理とは「お返し」のこと
返報性の原理とは、相手に自分が何かしてもらった時に「お返しをしたい」という気持ちになることを指します。
例えば「鶴の恩返し」なんかはわかりやすい例ですね。
罠にハマって絶体絶命の鶴をおじいさんが救ったことで、鶴が人間の姿になって恩返しをしにきた。
この時の鶴の心理はまさに返報性の原理が働いている典型的な例です。
セールスライティングやコピーライティングで返報性の原理を使うことで、ターゲットとなるお客さんが主体的に商品やサービスを購入してもらえるようになるでしょう。
返報性の原理の科学的根拠
返報性の原理は決してまやかしや都市伝説ではありません。
心理学者のデニス・リーガン氏による論文で、その効果が証明されています。
2人組のうち1人が飲み物を買いに行った時に
A:自分の飲み物だけ買ってくる
B:相手の分の飲み物も買ってくるという2つの行動のどちらかをとった後に、飲み物を買った人からもう1人の方に「福引きのチケットを買ってもらえないか?」とお願いをしました。
この結果、Bの行動をとった時の後の方が、Aの行動をとった時に比べて福引きのチケット購入率が2倍も高かったそうです。
論文参照:ロバート・B・チャルディーニ (著) 影響力の武器
これだけ効果があるなら、返報性の原理は侮れませんね。
返報性の原理の具体例
返報性の原理は日常生活のあらゆる場面で効果を発揮しています。
ここからは返報性の原理が効果を発揮している具体例を3つご紹介します。
具体例を知ることで、より理解が深まるでしょう。
試食
最近はコロナの影響ですっかり見ることがなくなりましたが、スーパーやデパ地下で試食コーナーがあるとついつい寄りたくなりますよね。
そして試食をすると「おいしかったし、1つぐらい買わないと申し訳ないな」という気持ちになると思います。
「無料で食べさせてもらったから商品を購入して恩返しをする」これは返報性の原理が働いていますね。
コンビニのトイレ
外出中にトイレに行きたくなった時、真っ先にコンビニを探す方も多いかと思います。
しかし、最近は防犯の観点からトイレの貸出をしていないところも多く、何件も回った後にようやく見つけたトイレを貸してくれるコンビニ。
間一髪のところで事なきを得て、トイレを貸してくれたコンビニに感謝の気持ちを込めてちょっと飲み物やお菓子を買う・・・。
という経験があるかもしれませんね。
これもまさに返報性の原理ですね。
対面のセールス
ウィンドウショッピング中にたまたま寄った洋服屋さんで、店員さんの熱烈なセールスに載せられてついつい予定もなく服を買ってしまった、ということはないでしょうか?
このように対面のセールスの場合、売り手の人間性や熱意に押されて返報性の原理が働きやすくなります。
返報性の原理4つのパターン
返報性の原理の中にも様々なパターンがあり、それぞれの特性にあった対応が必要です。
ここからは4つの返報性の原理のパターンとその特性についてご紹介します。
特性を知ることで長所を活かした使い方ができるでしょう。
好意の返報性
好意の返報性とは、相手に親切にされたり、なにか嬉しいことをしてもらったりしたら、そのお礼や恩返しがしたくなる心理のことです。
好意の返報性の例
- 罠にかかっていたところおじいさんに助けてもらったから、鶴は自らの羽で着物を織って恩返しをする
- SNSで「いいね」をしてもらったからお返しで相手の投稿に「いいね」をする
- バレンタインでチョコをもらって嬉しかったから、ホワイトデーにクッキーをお返しで渡す
まずは自分が相手に与えて好意をもってもらうことで、お返しをしてもらえるでしょう。
ちなみに、好意の返報性のようにギブ・アンド・テイクの心理効果を活用した「好意の法則」というものがあります。
好意の法則を利用したセールスライティングのテクニックをこちらの記事で詳しく解説しています。
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敵意の返報性
敵意の返報性は、相手から敵意を向けられた時、こちらも相手に敵意を向けてしまう心理のことです。
敵意の返報性の例
- 相手に殴られたから殴り返した
- テレビで見たタレントの発言に腹が立ったからSNSで悪口を書いた
- 飲食店に行った時に店員の態度が悪かったのでその場で説教した
怒りの感情には人間を衝動的に動かす力があるため、他の返報性パターンと比べてすぐに返報性の効果が出やすいところが特徴ですね。
ネガティブな返報性なので、セールスライティングで使う場面はほとんど無いでしょう。
譲歩の返報性
譲歩の返報性とは、相手が親切にしてくれたことに対して、こちらも親切に対応しようとする心理です。
譲歩の返報性の例
- 営業の人が値引きしてくれたので商品を購入した
- 同僚が仕事を手伝ってくれたので、同僚が困っている時に助けてあげようと思った
- お互いに譲れない条件があったので、妥協点を提案したら相手が承諾してくれた
好意の返報性に近いですが、譲歩の返報性の場合は「痛み分け」のニュアンスが近いですね。
セールスライティングで活かすなら、価格を提示する時に「本来なら定価100万円するところ、メーカーに交渉を重ねてなんとか70万円でご提供することになりました」と言った感じで、妥協に至ったストーリーを付け加えると良いでしょう。
自己開示の返報性
自己開示の返報性は、相手が自己開示をしてくれたら、こちらも自己開示をしたくなる心理を指します。
自己開示の返報性の例
- 相手が自己紹介をしてくれたから、こちらも自己紹介をした
- オンライン会議の時に、相手がカメラをONにしていたからこちらもカメラをONにした
- 初対面の人と話す際に「緊張しています」と相手が言ったことで緊張がほぐれた
好意の返報性と同じく、まずは自分から開示していくことで相手も開示してくれやすくなるでしょう。
セールスライティングでは、初対面のターゲットに自己紹介をしっかり行い、自分が怪しい者ではないことを認知させるようにしましょう。
返報性の原理をセールスライティングに応用する時の注意点
最後に返報性の原理をセールスライティングに応用させる時の注意点をご紹介します。
これらの注意点を押さえることで、返報性の原理の効果がより期待できるでしょう。
お返しを強要しない
返報性の原理はあくまで相手に主体的に動いてもらうためのテクニックなので、こちらから行動を促すことはやめましょう。
返報性の原理を使ったNG例
ここまで有益な情報を提供してもらって、なぜあなたは私の著書を買ってくれないのですか?今すぐこれまでの恩を返すべく本に買うべきだ!
このように強要してしまっては、返報性の原理の効果は得られないでしょう。
セールスライティングでは相手に行動を促すことが重要ですが、返報性の原理を使う際はじっと見守るようにしましょう。
相手の負担を軽くする
また返報性の原理で狙っている見返りについては、相手の負担が軽くなるようにしてあげましょう。
返報性の原理を使ったNG例
試食してもしおいしいと感じたら、本商品を買ってくださいね。
無料の試食のお返しが商品の購入となるとハードルが高すぎますよね。
この場合は「感想を教えてください」「おいしかったらSNSに投稿してくださいね」など、相手の負担が少ない見返りを求めるようにしましょう。
とは言え、セールスライティングのように商品やサービスを販売するには無料でできる見返りだけでは売上げが立たないですよね。
そこでオススメなのが「一貫性の原理」との組み合わせです。
一貫性の原理とは、「自らの行動や発言に矛盾がないようにしたい」と思う人間の心理のことです。
例えば、「SNSをフォローしてください」「投稿にいいねを押してください」など、小さなお願いを繰り返してみてください。
一貫性を継続したい気持ちと、返報性の原理によるお返しをしたくなる気持ちの相乗効果によって、商品やサービスを購入すると言った大きなお願いも聞いてもらいやすくなるでしょう。
一貫性の法則について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は返報性の原理を使ったセールスライティング術を解説しました。
返報性の原理とは
★相手に自分が何かしてもらった時に「お返しをしたい」という気持ちになること
★心理学者のデニス・リーガン氏の論文によってもその効果が証明されている
返報性の原理の具体例
★試食
★コンビニのトイレ
★対面のセールス
返報性の原理4つのパターン
★好意の返報性
→相手に親切にされたり、なにか嬉しいことをしてもらったりしたら、そのお礼や恩返しがしたくなる心理のこと
★敵意の返報性
→相手から敵意を向けられた時、こちらも相手に敵意を向けてしまう心理のこと
★譲歩の返報性
→相手が親切にしてくれたことに対して、こちらも親切に対応しようとする心理のこと
★自己開示の返報性
→相手が自己開示をしてくれたら、こちらも自己開示をしたくなる心理のこと
返報性の原理の注意点
★お返しを強要しない
→あくまで相手の主体性に委ねる
★相手の負担を軽くする
→こちらが与えたものよりも相手の負担が少ない見返りを求める
返報性の原理を単体で使うだけでなく、「一貫性、社会的証明、好意、稀少性、権威性」といった要素と組み合わせるとさらに効果が高まります。
ぜひ、返報性の原理を利用して、相手からお返しをしてもらえるようなライティングをしていきましょう。