どうも、狐乃文人です。
セールスライティングを初めとするクリエイティブな仕事では、自由な発想で制作物を作れる反面、こうすれば必ず良い成果が得られるという正解はありません。
だからこそ、生み出すことの苦しさに悩まされる人も多いでしょう。
そんな悩みを解決するヒントとしてぜひ読んで欲しいのが、田中泰延さんが書かれた「読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術」という本です。
そこで今回はセールスライティングのマインドが学べる良本「読みたいことを、書けばいい。」を解説します。
「読みたいことを、書けばいい。」が良本な理由
僕がこの本をオススメする一番の理由は「セールスライティングやコピーライティングのノウハウは書いていない」ところです。
この本の筆者である田中泰延さんは、株式会社 電通で24年間コピーライターとして活躍し続けた、超一流のライターです。
田中泰延さんとは
1969年大阪生まれ。
早稲田大学卒業後、株式会社 電通でコピーライターとして24年間勤務ののち退職、2017年から「青年失業家」を名乗り、ライターとして活動を始める。
2019年、初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)がAmazon書籍総合一位を獲得、16万部超のベストセラーとなる。
2021年、『会って、話すこと』(ダイヤモンド社)を上梓。
そんな田中さんがこの本で伝えているのは、「自分が読みたいと思う文章を書く」というシンプルなことです。
本来、セールスライティングやコピーライティングでは、ターゲットが読みたくなるように書くことがセオリーとされていますが、この本では全く逆の行動を推奨しています。
なぜなら、自分がおもしろいと感じない文章は他人が読んでもおもしろいわけがない、と田中さんは主張しています。
確かに、自分が書いておもしろくないと感じたものを、他の人におすすめできないですよね…。
このように、この本では電通でコピーライターをやっていた田中さんが考える「書くことへの向き合い方」つまり、マインドのことについて記されています。
「読みたいことを、書けばいい。」で心に残った言葉5選
そんな名著「読みたいことを、書けばいい。」の中でも、狐乃が特に心に残ったセクションをご紹介します。
「読みたいことを、書けばいい。」の注目ポイント5選
- ターゲットなど想定しなくて良い
- 何を書いたかよりも誰が書いたか
- 巨人の肩に乗る
- 言葉を疑うところから始める
- 思考の過程を披露する
本当はもっとたくさんあるのですが、今回はかなり厳選に厳選を重ねてこの5つをご紹介します。
ターゲットなど想定しなくて良い
セールスライティングではターゲットを決めて、その人に向けてLPやセールスレターを書くことがセオリーと言われています。
僕のブログでも、以前ターゲットを決める重要性について解説していますね。
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しかし、田中さんいわくターゲットは想定しないほうが良いそうです。
そもそも特定の誰かに言いたいことが「届く」と言うことが、そんなにあるだろうか。
(中略)
莫大な宣伝費を使うそれらも、結局、テレビや新聞など不特定多数が目にするところに「置かれる」のであり、「届けられる」のではない。
手紙やLINEのように特定の相手に届けるものではなく、多くの人が目に着く場所に置かれる広告だからこそ、自ら間口を狭める必要はないと語っています。
例えば20代女性をターゲットにした場合、まず男性は完全に除外されてしまいますし、女性でも20~29歳以外は除外されてしまうので、ターゲット”以外”に属する人数のほうが圧倒的に多くなりますよね。
こう考えると、ターゲットを定めた広告よりもどんな人も興味を持てる広告の方が、より売り上げを伸ばせそうですよね。
僕自身「LPやセールスレターを書く時はまずターゲットは定めるべき」と学んできたので、田中さんの主張は意表を突くものでしたし、これまでにない新たな発想で新鮮に感じました。
何を書いたかよりも誰が書いたか
ライティング全般において「文章の質が大事」と言われていますが、田中さんいわく書いてある内容よりも、「誰が書いたか」の方が重要だと主張しています。
あなたが例えば「ローマ帝国1480年の歴史」と言う事象に興味を持って丹念に資料を調べ、とてつもなくエキサイティングだったという心象を、自分自身で読んでもおもしろいウンチクやギャグをちりばめた文章にしてインターネット上に載せても、十数人から、多くて数千人がたまたま目にして終わるだろう。
だが、たとえば宇多田ヒカルがおいしかったロースカツ定食840円の話を書いたら、数百万人が争って読み、さまざまなコメントを山のように寄せ、豚肉の売り上げは跳ね上がるだろう。あなたのローマ帝国1480年はロースカツ定食840円に完敗だ。
いくら質の高い文章を書いたとしても、結局のところ有名人や知名度のある人には敵いません。
しかし、逆に考えれば知名度がある人の発言は多くの人が反応するともいえます。
例えば有識者の論文やコメント、歴史上の偉人の名言を引用するなど、自分に知名度がなければ、他の人の力を借りるという方法が有効でしょう。
巨人の肩に乗る
「巨人の肩に乗る」とは、海外のことわざで「先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見すること」と言われています。
たとえば、音楽家でもバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーと、すべて過去を引用しながらちょっとずつ新しくなっている。
しばしばセールスライティングやコピーライティングは「クリエイティブ職」と言われていますが、実際のところは0から1を生み出す仕事ではありません。
過去の先人たちが作り上げたノウハウを基に文章を書き上げていくことが、セールスライティングやコピーライティングです。
感動が中心になければ意味がない
セールスライティングやコピーライティングをするうえで、この言葉はかなり核心を突いていると感じました。
「わたしが愛した部分を、全力で伝える」という気持ちで書く必要があるのだ。愛するポイントさえ見つけられれば、お題は映画でも牛乳でもちチクワでも良く、それをそのまま伝えれば記事になる。
まずは自分が商品やサービスを好きにならなければ、魅力をターゲットに伝えることはできません。
そのためにも、商品やサービスをよく理解して、好きな部分(もしくは好きになれそうな部分)を見つけていきましょう。
思考の過程を披露する
セールスライティングでは、ターゲットとなるお客さんは5つのNotという障害があり、これを乗り越えないと売り手の主張を聞いてくれないと考えられています。
「5つのNot」とは、ターゲットがセールスの文章を読んで購入するまでの過程で存在する5つの障害(開かない、読まない、信じない、行動しない、理解しない)のことを指しています。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
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この考えのもと、文章はできるだけ短く簡潔に書くことが大事と考えられていますが、田中さんはその考え方に異を唱えています。
いきなりズバッと結論を提示しても、なんの共感もされない。「メロンは、イースター島である」とだけ書かれてもだれにもわけがわからないからだ。しかしメロンを食べたという事象を起点に、風が吹いたら桶屋が儲かるまでを順番に書けば、書くあなたも読む人もイースター島までたどり着くことができる。
文章が短ければ、その分伝えられる情報が少なく、文章の説得力や言葉の重みが全くありません。
そのため、言葉の裏付けとなる根拠や説明はできるだけ細かく、丁寧に伝えることが大事ということを伝えているのだと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はセールスライティングのマインドが学べる良本「読みたいことを、書けばいい。」を解説しました。
「読みたいことを、書けばいい。」が良本な理由
★「自分が読みたいと思う文章を書く」というシンプルなことを伝えている
→自分がおもしろいと感じない文章は他人が読んでもおもしろいわけがないから
「読みたいことを、書けばいい。」で心に残った言葉5選
★ターゲットなど想定しなくて良い
→自らお客さんを狭める必要はない
→見る人全てを魅了するように書こう
★何を書いたかよりも誰が書いたか
→結局有名人や、知名度がある人には敵わない
→足りない知名度は他人の発言などを引用して補う
★巨人の肩に乗る
→先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見すること
→過去の先人たちが作り上げたノウハウに頼りつつ、ちょっとずつ改良する
★感動が中心になければ意味がない
→まず自分が商品やサービスを好きになることが大事
→そのためにも、商品やサービスをよく理解する
★思考の過程を披露する
→共感を得るには結論に至るまでの内容を丁寧に説明する必要がある
この他にも「読みたいことを、書けばいい。」にはセールスライターやコピーライターの悩みを解消する考え方がたくさん書いてあります。
ぜひお手に取っていただき、心の糧にしてくださいね。